陶器とは?日本六古窯の陶器とそのほか有名な陶器の種類をご紹介!

陶器とは?
日本の歴史を振り返ると、古くから焼き物作りがおこなわれていました。そのため、日本全国各地あちこちに焼き物の産地があります。一般的に焼き物は、「陶磁器」と呼ばれています。また、その陶磁器も陶器・磁器・土器・炻器というように分類されているのです。ここでは、陶磁器の中でも、「陶器」の特徴、種類について解説します。

陶器について

陶器とは、陶磁器のひとつです。粘土を原料に、形を作って焼き物となります。陶磁器の歴史をざっくり解説すると、もっとも古いものは、旧石器時代よりも前に、青森で作られた縄文土器といわれています。

その後、時代の経過とともに、より高温で焼かれる陶磁器が出現します。そのうち、形を作った粘土の表面に、うわぐすりといわれる薬品を付けて、表面をコーティングする焼き方が大陸から伝わります。こうして、陶器の生産がはじまったのです。

この陶器は、日本が戦国時代を迎える頃になると、茶の湯の流行などが後押しして、日本全国でそれぞれ特徴を掲げて焼かれるようになります。

陶器の作り方

「土もの」と呼ばれる陶器は、先にも解説したように、粘土から作られる焼き物です。1,100~1,300度の窯で焼かれます。陶磁器の中でも、高い吸水性が特徴です。

窯で焼く際、酸素を十分に使いだんだん温度を上げて青白い炎で焼く方法と、空気の流れを断ち不完全燃焼の状態で焼く方法の、どちらの方法でも焼くことが可能です。

陶器の見た目の特徴およびさわり心地

陶器は、土でできているので、土の素朴な手触りと、あたたかみのある風合いが特徴です。お箸などで軽くたたくと、鈍い音がします。

見た目は、透過性はなく、陶器の素地は白や黒・青など、80種類以上の色があります。器を裏返し底の部分を見ると、茶色くてざらざらしているのも特徴的です。

うわぐすり(釉薬ともいう)を付けて焼くと、表面がガラス状にコーティングされた陶器になります。コーティングの表面にひびが入りやすい点も、この焼き方の魅力とされているのです。

陶器:日本六古窯の種類

時代ごとに形を変えながら、伝統の技が引き継がれてきた日本の陶磁器を振り返ると、日本には陶磁器の産地が、たくさんあることがわかります。

中世の頃からおよそ900年以上の歴史をもち、現在も生産が続けている窯は6つあります。「日本六古窯」と呼ばれているものです。ここでは日本六古窯の陶器についてご紹介します。

備前焼

備前焼は、岡山県備前市伊部にある六古窯のひとつです。うわぐすりを使用せず、高温で焼いた非常に割れにくい陶器です。

焼いている最中の窯内の位置や、炎の強さによって赤みの強い味わいや、一つひとつ異なった模様の陶器が焼き上げります。

茶褐色の素地は、田の土と鉄分を含む山の土を混ぜて作ったものです。使い込むほど味が出るといわれます。伊部地区で作られていたため「伊部焼」という別名もあります。

信楽焼

信楽焼は、滋賀県甲賀市信楽町にある六古窯のひとつです。「タヌキの置物」といったら想像がつくでしょうか。その独特の手触りの粗さと、素朴な風合いがある陶器です。

そのため、室町時代、千利休など多くの茶人から好まれ、茶碗が作られました。良質な土が使われており、あたたかみのある色が特徴です。

丹波焼

丹波焼は、兵庫県篠山市の六古窯のひとつです。発祥は、平安時代末期から鎌倉時代のはじめといわれています。江戸時代のはじめは、風合いのある茶陶が焼かれていました。丹波焼の蹴りロクロの技術は、この頃から今に伝えられて、活用されています。

越前焼

越前焼の生産地である福井県丹生郡越前町は、平安時代末期、炻器を焼いていた地方でした。かたく焼き締めた焼き物を作りはじめたことが、越前焼のはじまりとなります。

かたくて丈夫な越前焼は、室町時代以降、既婚女性が歯を黒くする塗り物入れに重宝された陶器です。その後一輪挿しなども作られましたが、窯元の廃業が続き、その伝統の灯も弱々しくなるも、近年再び新しい歴史を歩みはじめています。

瀬戸焼

瀬戸焼は、愛知県瀬戸市の六古窯のひとつです。瀬戸市東南部に位置する山麓が発祥の地となります。強度のある陶器にするために、うわぐすりをかけて焼いていた窯は、六古窯の中で瀬戸焼だけです。昔は、京都の有名な寺院などで使われていた陶器であったといわれています。

常滑焼

常滑焼は、愛知県常滑市にある六古窯のひとつです。六古窯の中ではもっとも古いのですが、規模は最大です。

平安時代に、小椀や小皿のほか、お経が書かれたものを入れる物入れが作られていました。その後、茶の湯や生け花の花器などが作られるようになりました。

常滑焼の特徴は、原料の鉄分を赤く発色させる技法です。鉄分を多く含んだ陶土は、お茶を淹れたときに鉄とお茶のタンニンに反応して、お茶の苦み渋みがほどよくとれ、まろやかな味になるといわれ好まれています。

六古窯以外の伝統的工芸品指定の陶器

六古窯以外にも、日本にはさまざまな焼き物の産地が点在しています。その中には、伝統工芸とされる陶器もあるのです。ここでは有名な陶器をいくつかご紹介しましょう。

益子焼

益子焼は、江戸時代の終わり頃、栃木県の芳賀郡益子町の窯で焼かれたのがはじまりです。現在は真岡市や茂木町でも生産されている、伝統工芸の陶器といえるでしょう。重圧な感じの中にも繊細さをもっているのが、益子焼の特徴です。

大堀相馬焼

大堀相馬焼は、福島県の双葉郡浪江町で生産されている陶器です。300年以上の歴史をもつ福島県の伝統工芸となります。

大堀相馬焼は、透明感のあるうわぐすりを用いた青みのある陶器が有名です。そのほか「走り駒」と呼ばれる馬の絵が描かれている、青ひび・二重焼という製法で焼かれた湯呑みもよく知られています。

赤津焼

赤津焼は、愛知県の瀬戸市で生産される伝統的工芸品です。この陶器の特徴は、7種のうわぐすりを用いて、多彩な装飾が施されている点です。

陶器の扱い方

陶器を購入した後のお手入れのポイントは、水やぬるま湯に半日ほどつけてから使うことです。こうすることで臭いがつきにくくなります。使う前にも、毎回ぬるま湯にくぐらせてから使用すると、なおよいでしょう。

使用後は、つけおきなどはせず、中性洗剤を使い、柔らかいスポンジで洗ってください。洗い終わった後は、しっかりと乾かしてから収納します。食洗機の使用や、鍋類などで直火使用する際は、購入時の注意書きをご確認ください。

まとめ

土で作った風合いのある陶器は、あたたかみを感じる器です。使うほどに味が出てくる陶器もあります。気に入った陶器を手に入れたら、扱い方に注意して大切にご使用ください。

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