陶器と磁器の違いとは?さまざまな視点から詳しくご紹介!

陶器と磁器の違いとは?
陶器と磁器は、よく「陶磁器」とひとつ括りの総称として呼ばれることがあります。しかし実際には、陶器と磁器というように、大きく2つにわけられるものです。そして陶器と磁器は、実は特性の違いも多く、さらには使用方法や扱い方など、細かく見ると、たくさんの違いがあることに気づくでしょう。

今回は、そういった陶器と磁器の違いを、さまざまな視点から掘り下げて解説していきます。違いを知ることによって、より陶器と磁器のよさを感じられるでしょう。

陶器について

まず、陶器について、特徴や概要などを詳しく解説していきます。陶器と磁器のそれぞれの性質を知ることで、2つの違いの理解がより深まるでしょう。

陶器とは

陶器とは、土由来の有色粘土を用い、乾燥させてから焼いた焼き物です。特徴は、焼き上がると土の色味が出て、全体に厚みをもたせたものが多い点です。

過程としては、練って整形した陶土を乾燥したのちに、600℃〜800℃と焼き物の中では比較的低めの焼成温度で素焼きします。その後、釉薬をかけて高温の1,100℃〜1,300℃で焼成します。

釉薬を塗ることによって、表面にガラスのような薄い膜ができ、不可視である空気穴が無数に開くため、透過性が高く10%ほどの吸水性をもちます。

代表的な陶器としては、主に瀬戸焼、益子焼、備前焼などが挙げられるでしょう。

でき上がった陶器の特徴

陶器は、吸水性といった透過性はあるものの、光を通す透過性はありません。また、素地の色もさまざまで、その種類は白や赤、青や緑など、実に80種類を超えます。そして厚みと無数の穴により、お湯を入れても手で持ちやすいのが特徴です。陶器のよさは、本来の土がもつ、温かみと柔らかな風合いだといえるでしょう。

磁器について

では次に、磁器についてみていきます。一見、陶器と混同されがちな磁器ですが、その特徴を知ると、磁器のよさを一層実感できるでしょう。

磁器とは

磁器は、白色粘土の中に、長石や珪石というガラス質の石を成分として加えたものを原料とします。このガラス質の成分は高温で焼くと溶けるため、磁器の質感は滑らかなガラス質になるのです。

約1,200℃〜1,400℃の高温で焼成されます。色は白色のみなので、透明釉薬をかけて焼き、白の上から顔料で色つけを行う方法となります。

日本では、伊万里焼や有田焼、九谷焼などが有名です。

でき上がった磁器の特徴

磁器は、薄めで透明感をもつ質感が特徴です。そして、焼きしまるため吸水性はないものの、光の透過性はもっています。丈夫で割れにくく、薄めに作られていても、カップや食器類に用いられやすいのです。湯呑みやティーカップなどは、お湯を入れた場合に直に持つと熱いので、取っ手がついていることも多いでしょう。

陶器と磁器の違い

陶器と磁器をそれぞれ細かく見てきましたが、それらをまとめながら、陶器と磁器の違いを3つにわけて解説していきましょう。

原材料の違い

陶器に使用するのは、陶土という有色粘土です。黄土色や鉄分を含む赤色など、さまざまな自然の有機物を配合した土由来の粘土を使用します。

一方、磁器は磁土と呼ばれる、有機物など一切含まない純白粘土を使用するのです。その成分は、陶石やカオリンといったもので、石由来の粘土を使います。陶器と磁器にはこのように、土由来と石由来といった違いがあるのです。

焼く時の温度

陶器と磁器は、焼く時の焼成温度と、上からかける釉薬の種類の違いも大きいといえるでしょう。陶器は、素焼き温度が600℃〜800℃で、さらに釉薬をかけた後1,100℃〜1,300℃で焼成します。しかし、磁器は陶器より100℃〜200℃高温で焼成します。

耐火性が大きく異なるので、工程や温度によって釉薬も「強釉」や「弱釉」など、使いわけながら使用していくのです。

陶器と磁器の見分け方

磁器は光にかざすと、透過性により少し透けて見えるでしょう。陶器は光を通しません。陶器は水を吸収する性質が10%ほどあるため、使用後はよく洗い乾燥させる必要があります。一方、磁器は吸水性がないので、手入れは楽です。

軽くたたいた際に出る音が、陶器は鈍く「ゴン」という音ですが、磁器は澄んだ金属音が聞こえます。風合いは、陶器は、土本来の温かさや素朴さが感じられるでしょう。磁器は、滑らかで硬質感があり、薄手なものも多いでしょう。

高台(裏返した時の器の底)の感触は、陶器の素地は、ざらついており柔らかな土感があります。磁器は、硬く緻密で滑らかな感触となります。

まとめ

陶器と磁器は、細かく見ていくと、さまざまな違いがあります。作る工程や原材料となる粘土の種類や成分、そして焼成する温度などの違いが、陶器と磁器の質感や特徴の違いを生み出していることがわかりました。

本記事では、そういった陶器と磁器の違いについて、それぞれの特性などから詳しく解説していきました。陶器と磁器を深く知ることで、より一層焼き物のよさを知る機会になったのではないでしょうか。

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